シークレットベイビー② 弥勒と菜摘

ワンワン

「! 」


菜摘ははっと目が覚めた。
弥勒に腕をついて、瞬間にぱっと体も起こした。
枕元の時計、もうすぐ7時!

菜摘は慌てて、ひろいキングサイズのベットの、枕元に脱いだままの服に手を伸ばして、服を着ようと前後ろを確認しながら弥勒に声をかける。


「弥勒さんも早く着てくださいってば!」

「ん? 何、菜摘⋯⋯ きて下さい? 」

「あっ⋯⋯ 」


弥勒に再びベットに引き摺り込まれて、朝から濃厚にキスされてたら⋯⋯ 。

がしゃん、ガジガジ


「あ、ダメですって」

「ここダメ? 」


と甘く笑いながら菜摘に指を這わす弥勒の裸の胸を押したら、彼は嬉しそうに喜んで、もう! 一子(いちこ)も起きちゃうってば。

ワンワンワン


「ほら、なきだしちゃった! 」



結局、今朝も、ギリギリまで弥勒と過ごし、弥勒の匂いを残したまま、朝ごはんの準備をする。

体は少し疲れているような、でも愛されて体の奥の芯まで気だるい満足が、何かじわっと広がって、体中、足先まで熱くゆったり重だるく充足感で満たされている。

食パンとサラダと卵と低脂肪乳と果物をバランスよく、一子のためにもカットしたり、弥勒の朝はメニューが大体決まっているからやりやすい。

並べている途中で弥勒がシャワーを浴びて着替えて部屋に入ってきた。

途端にドキッとする。

さっきまであんな至近距離にいたのに、顔を合わせたら、もう、新鮮にときめく。

ふふ

弥勒も菜摘を見て、

ふっ

と優しく笑い、


「お腹すいたよね、なんでかな、」


とか言って、イヌに手際よくエサをやった。
毎日、朝は弥勒がエサをあげてくれる。

弥勒が戻ってきて、食卓について、ちょっと満足げに足を組んで、肘をついて大きな両手を組んで、首を横に倒したりして、弥勒も満ち足りた? 好き、愛してる、2人にしかわからない視線を絡ませて、甘い気持ち。

開けっ放しのドアから一子もトコトコ入ってきた


「おはよう、一子、」


と弥勒が菜摘とはまた違った甘さで声をかける。
弥勒は一子をだきあげて、子供椅子に座らせてやった。

一子は2歳児だが、淡々と毎日7時ごろ目を覚ます。さっき朝ごはんの前に菜摘が手早く着替えさせて洗面させていたので、そのまま大人しく食卓についた。


いただきまーす

< 2 / 72 >

この作品をシェア

pagetop