モブで地味子な私を、超イケメン男子が、かまってかまって溺愛中!
第50話「かけがえのない大事な友だち」
ラノベに出て来る貴族家の書斎みたいな部屋。
四方にある巨大な書架には本がぎっしり。
クラシックな大型長椅子、他に置かれている調度品も素敵。
最新型の超巨大テレビ。
そんな部屋に私は通された。
これまたラノベに出て来るような可愛いメイド服を着た若いお手伝いさんが、香りの良い紅茶と、おいしそうな焼き菓子を運んで来た。
すぐにお手伝いさんは下がり、部屋は閉め切られ、白鳥さん母娘と私の3人だけとなった。
白鳥さんのお母さん、あやかお母さんが言う。
彼女は優しく柔らかく微笑んでいる。
「三島結さん、私はあなたを、ゆいちゃんと呼んで構わないかしら?」
「は、はいっ! よ、呼んでくださいっ!」
「うふふ、改めて、お礼を言わせてちょうだい。ゆいちゃん、本当にありがとう。感謝しているわ」
丁寧にお礼を告げ、深く頭を下げる、あやかお母さん。
私は戸惑う。
「ええっと、あの……お礼を言われるような心当たりが……私こそ、白鳥さんにお礼を言いたいです、友だちになってくれて、いえ、私と出会ってくれて、本当にありがとうって!」
思わず声が大きくなった。
そんな私を見て……白鳥さん? 涙ぐんでる?
「ゆい……」
私と白鳥さんを見て、微笑んだ、あやかお母さん。
軽く息を吐いた。
「ゆいちゃん、礼華……変わったのよ。少し前から」
「え?」
白鳥さんが? ……変わった!?
いや、変わったのは、変わる事が出来たのは私。
成瀬君との出会いと恋、白鳥さんの友情が私を変えてくれたのだ。
お礼を言うのは私の方なのに。
「い、いえ、変わったのは私の方ですよ」
「うふふ、じゃあ変わったのは、お互いにか。ふたりの出会いは素敵な化学反応ね」
「化学反応?」
「ええ、礼華はね、今までだいぶストレスをためていたわ。ね? 礼華」
あやかお母さんの問いかけに対し、白鳥さんは、はにかみながら肯定する。
「はい、まあ……確かに、ストレスがたまっていたわね、ママ」
「そうよぉ! 完全に反抗期。私との会話もろくになく、学校から帰るとすぐお稽古ごとに行っちゃうか、自分の部屋に引きこもって、食事まで出て来なかった。うふふ、いわゆる暗黒時代ね」
「あ、暗黒時代?」
「ママ、相変わらず容赦ないわね」
手加減のない、あやかお母さんの口撃。
白鳥さんは苦笑し、私へ言う。
「ゆい、私ね、何かにつけてお嬢様って言われるのが嫌だったし、堅苦しい学校生活も送りたくなかった。だからパパとママが勧めた私立のお嬢様学校を断固拒否して、公立の中学校へ入学したのよ」
そう……だったんだ。
白鳥さんの辛い過去。
だけど、あやかお母さんは更に容赦がない。
「そうよ。この子、親の言う事をまったく聞かないのよ」
私は、しばらく黙って聞く事にした。
白鳥さんも無言である。
「礼華は私たちの反対を押し切って、希望通り、公立中学校へ入った。そして好きな人が出来た。でも、恋はうまくいかなかった」
「……………」
「礼華は元々奥手だったし、あんなに嫌がっていたお嬢様を武器に、好意を持ってもらおうとしたのにね」
「……………」
「礼華の好きな人、成瀬悠真君。彼が好きになったのが、ゆいちゃん、あなたよ」
「……………」
「礼華はね、最初は、ゆいちゃんと親しくなって、片思いの成瀬君へ近付きたいと思った。自分の恋心もあなたへ伝え、相談した。でもうまくはいかなかった。成瀬君がゆいちゃんへ告白したから」
「……………」
「礼華にとって、大ショックだったでしょうね。今まで何でも自分の思い通りにして来た子だから」
「……………」
「でも……友達として接するうちに、ゆいちゃんの素顔に触れていたから、礼華の気持ちは変わっていたわ」
「……………」
「ゆいちゃん」
「は、はい」
「成瀬君に告白されたあなたが、礼華を気づかい、筋を通してくれた。それでとうとう、礼華は気付いたの。恋には破れたけれど、自分はかけがえのない友だちを得ていたって」
「かけがえのない友だち……私が?」
「ええ、ゆいちゃん、あなたは礼華にとって、かけがえのない大事な友だちなのよ」
「あ、ありがとうございます」
「成瀬君の本音も聞いて、彼がなぜゆいちゃんを好きになったのか、礼華は理解した。ゆいちゃんの前では正直になれる自分が、成瀬君とまったく同じだと気付いたのよ」
「……………」
「それ以来、礼華は変わった。ゆいちゃんを励みとし、とても前向きになって、自分の将来への夢も持つようになった。ファッションデザイナーになりたいって、毎日、頑張ってるわ」
「……………」
「ゆいちゃんには何か目標があって、すごく頑張ってる。私も頑張らなきゃって、ね」
「……………」
「ゆいちゃん、改めてお礼を言うわ。本当にありがとう」
「そ、そんな!」
「礼華は不器用でこわがりな子。うまくゆいちゃんに自分の気持ちを伝えられないって大泣きしたから。すごく過保護だけど、今回は私がでしゃばったのよ」
「……………」
「だけど……礼華はとても優しくて友だちへの思いやりが持てる子よ。『親ばか』かもしれないけどそう思うの。これからも仲良くしてあげてね」
「はいっ!」
あやかお母さんの心から娘を思う言葉。
……白鳥さんの私への優しい気持ち
私は……胸が熱くなった。
気が付けば、涙がとめどなく、流れている。
思わず、白鳥さんを見た。
……白鳥さんも、目に涙をいっぱいためていた。
もう!
我慢出来ない!
「白鳥さん!!!」
「ゆいっ!!!」
私と白鳥さんは、あやかお母さんの前で固く抱き合い、わんわんと大泣きしたのである。
四方にある巨大な書架には本がぎっしり。
クラシックな大型長椅子、他に置かれている調度品も素敵。
最新型の超巨大テレビ。
そんな部屋に私は通された。
これまたラノベに出て来るような可愛いメイド服を着た若いお手伝いさんが、香りの良い紅茶と、おいしそうな焼き菓子を運んで来た。
すぐにお手伝いさんは下がり、部屋は閉め切られ、白鳥さん母娘と私の3人だけとなった。
白鳥さんのお母さん、あやかお母さんが言う。
彼女は優しく柔らかく微笑んでいる。
「三島結さん、私はあなたを、ゆいちゃんと呼んで構わないかしら?」
「は、はいっ! よ、呼んでくださいっ!」
「うふふ、改めて、お礼を言わせてちょうだい。ゆいちゃん、本当にありがとう。感謝しているわ」
丁寧にお礼を告げ、深く頭を下げる、あやかお母さん。
私は戸惑う。
「ええっと、あの……お礼を言われるような心当たりが……私こそ、白鳥さんにお礼を言いたいです、友だちになってくれて、いえ、私と出会ってくれて、本当にありがとうって!」
思わず声が大きくなった。
そんな私を見て……白鳥さん? 涙ぐんでる?
「ゆい……」
私と白鳥さんを見て、微笑んだ、あやかお母さん。
軽く息を吐いた。
「ゆいちゃん、礼華……変わったのよ。少し前から」
「え?」
白鳥さんが? ……変わった!?
いや、変わったのは、変わる事が出来たのは私。
成瀬君との出会いと恋、白鳥さんの友情が私を変えてくれたのだ。
お礼を言うのは私の方なのに。
「い、いえ、変わったのは私の方ですよ」
「うふふ、じゃあ変わったのは、お互いにか。ふたりの出会いは素敵な化学反応ね」
「化学反応?」
「ええ、礼華はね、今までだいぶストレスをためていたわ。ね? 礼華」
あやかお母さんの問いかけに対し、白鳥さんは、はにかみながら肯定する。
「はい、まあ……確かに、ストレスがたまっていたわね、ママ」
「そうよぉ! 完全に反抗期。私との会話もろくになく、学校から帰るとすぐお稽古ごとに行っちゃうか、自分の部屋に引きこもって、食事まで出て来なかった。うふふ、いわゆる暗黒時代ね」
「あ、暗黒時代?」
「ママ、相変わらず容赦ないわね」
手加減のない、あやかお母さんの口撃。
白鳥さんは苦笑し、私へ言う。
「ゆい、私ね、何かにつけてお嬢様って言われるのが嫌だったし、堅苦しい学校生活も送りたくなかった。だからパパとママが勧めた私立のお嬢様学校を断固拒否して、公立の中学校へ入学したのよ」
そう……だったんだ。
白鳥さんの辛い過去。
だけど、あやかお母さんは更に容赦がない。
「そうよ。この子、親の言う事をまったく聞かないのよ」
私は、しばらく黙って聞く事にした。
白鳥さんも無言である。
「礼華は私たちの反対を押し切って、希望通り、公立中学校へ入った。そして好きな人が出来た。でも、恋はうまくいかなかった」
「……………」
「礼華は元々奥手だったし、あんなに嫌がっていたお嬢様を武器に、好意を持ってもらおうとしたのにね」
「……………」
「礼華の好きな人、成瀬悠真君。彼が好きになったのが、ゆいちゃん、あなたよ」
「……………」
「礼華はね、最初は、ゆいちゃんと親しくなって、片思いの成瀬君へ近付きたいと思った。自分の恋心もあなたへ伝え、相談した。でもうまくはいかなかった。成瀬君がゆいちゃんへ告白したから」
「……………」
「礼華にとって、大ショックだったでしょうね。今まで何でも自分の思い通りにして来た子だから」
「……………」
「でも……友達として接するうちに、ゆいちゃんの素顔に触れていたから、礼華の気持ちは変わっていたわ」
「……………」
「ゆいちゃん」
「は、はい」
「成瀬君に告白されたあなたが、礼華を気づかい、筋を通してくれた。それでとうとう、礼華は気付いたの。恋には破れたけれど、自分はかけがえのない友だちを得ていたって」
「かけがえのない友だち……私が?」
「ええ、ゆいちゃん、あなたは礼華にとって、かけがえのない大事な友だちなのよ」
「あ、ありがとうございます」
「成瀬君の本音も聞いて、彼がなぜゆいちゃんを好きになったのか、礼華は理解した。ゆいちゃんの前では正直になれる自分が、成瀬君とまったく同じだと気付いたのよ」
「……………」
「それ以来、礼華は変わった。ゆいちゃんを励みとし、とても前向きになって、自分の将来への夢も持つようになった。ファッションデザイナーになりたいって、毎日、頑張ってるわ」
「……………」
「ゆいちゃんには何か目標があって、すごく頑張ってる。私も頑張らなきゃって、ね」
「……………」
「ゆいちゃん、改めてお礼を言うわ。本当にありがとう」
「そ、そんな!」
「礼華は不器用でこわがりな子。うまくゆいちゃんに自分の気持ちを伝えられないって大泣きしたから。すごく過保護だけど、今回は私がでしゃばったのよ」
「……………」
「だけど……礼華はとても優しくて友だちへの思いやりが持てる子よ。『親ばか』かもしれないけどそう思うの。これからも仲良くしてあげてね」
「はいっ!」
あやかお母さんの心から娘を思う言葉。
……白鳥さんの私への優しい気持ち
私は……胸が熱くなった。
気が付けば、涙がとめどなく、流れている。
思わず、白鳥さんを見た。
……白鳥さんも、目に涙をいっぱいためていた。
もう!
我慢出来ない!
「白鳥さん!!!」
「ゆいっ!!!」
私と白鳥さんは、あやかお母さんの前で固く抱き合い、わんわんと大泣きしたのである。