ウサギ小屋
ママ大好き。

パパ大好き。

偽りの無い純粋無垢。

「おなかすいたな」話す事は出来ない。

僕の世界にはウサギさんとわんちゃんと猫とお兄ちゃん。そして弟妹。

愛とは一体なんだろう、子は親を選べない。彼は世界を知らない。それは幸福な事だろうか我々は守る事は出来なかったのだろうか、しかし子は親を愛していた。

僕の部屋はここ。僕の世界はここ。

サクは知らない。外の世界を知らない。ここの世界が全て、このやや狭いウサギ小屋がサクの世界の全て。サクは愛されている。サクは愛されている。サクは愛されている。

世界は広い、本当は途方もなく広い、しかし子供のサクはこの部屋が全て。パパもママもサクを愛していた。サクもパパとママを愛していた。

何故事件は起きた?何故事件は起きたのか、ママとパパは本当に分からなかった。常識は誰にとっての常識なのか彼らは知らなかった。彼らもそう狭い世界で生きてきたから

3歳のサクはおむつ姿でエサは2〜3日に一回。サクは泣く、叫ぶ、それしか出来る事はない。今日もサクは泣いた。「五月蝿い!」泣くとすぐに叩かれる。泣き止むまで、叩かれる。何故?サクには分からなかった。痛みと音、怖い。

でもいつもは優しい。みんな好きだ。みんな優しい。お腹は空いたけど、この世界は賑やかだ。
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