Livre magic〜未来への光〜
メルキュールはそう言い、攻撃しようとしたが、そこであることに気付く。それは物の怪から敵意を全く感じないことだった。よく観察すると、物の怪はどこか怯えているような目をしている。

「僕を攻撃しないの?」

メルキュールがそう訊ねると、物の怪は何度も首を縦に振る。言葉を理解していることにメルキュールは驚いた。

「どうして知性が……」

メルキュールが驚いていると、フラリと物の怪がその場に倒れてしまった。メルキュールが物の怪の体を見ると、その体には無数の傷があり、血が滲んでいるものもあった。

「……手当てするから、ジッとしててね」

メルキュールは回復魔法を唱え、魔法で治りが遅いものには包帯などを巻いて手当てをしていく。その時、物の怪が小さく「ありがとう」と言った。

「君、言葉が喋られるの?」

メルキュールが訊ねると、「僕たち物の怪は、全員元々は人間なんだ」と言い、物の怪のことを詳しく説明し出す。
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