Livre magic〜未来への光〜

「ノワール、お疲れ様」

メルキュールが僕に微笑み、僕も「メルキュールこそ、お疲れ様。ありがとう」と返す。

もう物語の世界へ入ることはできなくなってしまった。物語の世界は夢や理想であふれていて、きっと多くの人があの世界へ閉じこもりたいと思っているんだろう。でも……。

「みんなでこれからご飯でも食べに行こうか！」と楽しそうにするリオン。

「その前に警察からの事情聴取があります」と冷静に答えるシャルロット。

「ええ〜、ダル！めんどくさ！」とため息をつくカズ。

「まあ、早く終わらせてみんなでおいしいものを食べて事件が終わったことをお祝いしようよ」と微笑むメルキュール。

「なら、私すごくいいお店見つけたんですよ！」と目を輝かせるエリカ。

この時間が僕にとって愛しいと知ったんだ。小説の中では叶わないことが、きちんと現実の世界にある。僕たちの世界には何もない。だからこそ、自分たちの力で友情も夢も描いていくんだ。それはきっと、どんな物語よりも素晴らしい。

「みんな、ありがとう！」

僕たちは青空の下、笑って歩く。眩しいくらいの陽の光が、僕らの笑顔を照らした。