素直な心
その日の部活終わり、教室に忘れ物をして
取りに行こうと薄暗い廊下を歩いていたら
晶がまだ残っていることに気が付いた。

「晶?まだいたのか」
「あっ、武!部活終わったんだ!」
「なにしてんだ?こんな時間まで」

晶の父親が出張でいないために
家のことに追われ、宿題が終わらず
残りをやっていたところ、

と、へへっと舌を出して言った。

「…手伝ってやる、それ終わったら一緒に帰るぞ」

先輩が引退してから、俺は部活が忙しく
なかなかみんなと帰る時間がなかった為に
晶と一緒に帰るなんていつぶりだろうか。

「武って意外と優しいんだ。」
「ばーか、今更気づいたのかよ」

生意気な口を叩く晶を小突き、
戯れ合いながら宿題を進めた。
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