アンチテーゼを振りかざせ




そんな中で大学時代、学内の就活セミナーを通してできた彼氏に言われた言葉は、私の考えを強固なものにした。



「今日、飯どこ行く?」

「そうだなあ、お腹空いてるからどこでも良いけど…」


ウインドウショッピングをしながら、そんな会話をしていた私はふと、街の中に佇む一軒の居酒屋が目に入った。


"17時半〜19時までハッピーアワー!
生ビール&ハイボール 100円!"

「(え、100円!?!?)」


店先のポップを目にした私は、心の中でそう叫んだ。


おっさんが食べるようなおつまみメニューは、父も兄達もお酒が好きだったし、実家にいた頃よく母が作ってくれた。

中でも酒と醤油、みりんでしっかり浸からせたサキイカは、妙に美味しくて。


大学に入ってお酒を飲むようになって、私は酒とおつまみの相性は神だということに、気がついた。


__でも。


「なんかこの辺り、居酒屋しか無いな。

紬っぽい店無いわ。もうちょっと向こうまで歩こうか。」



そっか。

どうやら居酒屋のおっさんメニューは、

私らしくは無いらしい。


"女の子は、
ちゃんと努力しなきゃ受け止めてもらえない。"



恋をするには、我慢も沢山必要なのだと私は悟った。

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