夜行性のホストに溺愛されてます






 得体の知れない飲み物を前に置かれる




 「 今日はなんかあったの ? 」




 それを言うならあの事故の日からずっと ,




 「 いいえ 、」と首を横に振った




 「 何かあったんだと思った 」




 りょうさんはワイングラスを傾けた




 それだけで絵になる綺麗さだ




 「 今日に始まったことじゃなくて … 」




 「 ここ最近 ずっと辛くて 」




 「 そっかそっか 、あるよねそういう時 」




 なんで今日偶然会っただけの人に




 こんなことを話しているのかは分からない




 でも何となく話してしまいたかった




 「 事故に遭って両親を亡くしちゃって 」




 「 私だけ残るんならいっそ … って 」




 「 そんなことない 」




 「 ひなは十分頑張ってるよ 」




 記憶がないことは言えなかったけれど




 認めてもらえた気がして嬉しかった




 「 たまには逃げたり休んだりしないと 」




 そう言って微笑んでくるその笑顔は




 天使みたいに優しかった








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