私とピン球
「え、それじゃあ、《私》の好きな人って……!」

ニヤニヤしながら詰め寄る桃にすっぱりと言った。

「桜木先輩じゃないよ」

ガタン!

「じゃないんかい!」

桃が大袈裟に椅子から転げ落ちた。


「早く話しなさいよ!誰なの!?」
 
「それは……キュウスケ、なの」

恐怖と緊張から声が震え、言葉になったか分からない。

視界がぼやけてきて、喉も引きつってきた。

「えー!マジでー!?キュウスケなんだー!……って、誰?」

そりゃ、そうだよ。

キュウスケは、私しか知らなくて、もうこの世にはいないのだから。

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