君想
痛かったのは、頬。
だけど、それ以上に心が痛かった。

"あんなやつに"
最初の一言は、俺に向けてだったんだ。
しかも、
"とにかく無理"
はっ…だっさ。
あんな女に振られてやんの。
しかも会って一ヶ月。
バカかって。俺。

______
「あ、森ちゃん。」
「…ぐすっ…加持ぃ~」
「ちょっ!?森ちゃん!?」
「森松~。なんかされたか?」
「ふっ…う…なんで…」
「ゆっくり話せや。」
「あんなやつに…っ」
「うん。うん。」
「好きになられ…なきゃ…っ」
「…すき?」
「森、崎がっ、あたしの事…」
「ちょっとまって。」

「…森ちゃんって、森崎の事好きじゃないの?」
「…別に?」
「「うっそー!!」」
「嘘じゃ、ない…」
「俺等ずっと森ちゃんって森崎の事好きと想ってた」
「あたしは、他の人が―…」
______

"バンッ"とドアの音を鳴らして、教室にはいる。
目の前には、泣いている森松と、慰めている加持と麻田。
…みんなみんな、なんなんだよ!
俺がわりいのか!?
は!?

「おい、森崎ぃ」
「んだよ」
「お前が森松と居ないなんて珍しいじゃん」
ケラケラ笑うこいつは、浦水健人。
「ほんっと。なんかあったんだろ?」
心配性な、城田涼。
「こいつが告ったとか(妖笑」
…無神経な奴、元木翔太。

「…」
「あ、やべぇ。図星?」
それで真っ赤になる俺。
「あっはっはっは!!まじで!?まじで!?」
「うっ、うっせ!!」

この会話が、またアイツを傷つけるとも知らずに俺は普通に話してたんだ―…。

「…」

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