君想
境目
あの日を境に、俺と森松は離れていった
もちろん、喋るのは一週間に一、二回だし、俺もなるべく話さないようにしている。
「あのさあ…」
元木がため息をつきながら、話しかけてきた
「お前、好きなら普通話しかけねぇ?」
がっかりしたような顔ぶれで、俺を見てくる。
…別に、好きだから話しかけるとかじゃなくって
俺は、楽しければいいんだよね。
野球が好きだから、話だけなら岩波でもいいし…
あ、でも明るく話せるのは辻か。
「…別に」
「………ろ、ばか」
元木がなんか言ったように聞こえたけど、前半部分は全く聞こえず、後半部分のバカ、しか聞こえなかった。
「そんな、俺にバカとか言うけどさ!
お前はどうなわけ!?」
実際、元木にも好きな人は居る。
五月に別れて、六月の今現在、別れた時から好きな人がいるらしい。
まぁ、そいつがどいつかだなんて俺にはわかっていた。
「俺のことはどーだっていいじゃんか!
今はお前の事!」
机をバンと叩き、立ち上がる。
その瞬間、騒がしかった空気は一変し、一気に静かな空気になり、みんなこっちを見ていた。
もちろん、元木の好きな子も、森松も。
「…うっせーんだよ、てめぇーら」
いきなり文句をとばしてきたのは、浦水だった。
隣の席になってから、やけにあいつは調子づいてる。
ってか、周りが良いメンバーになってからだな…。