君想
休み時間、俺の周りには複数の人間が集まった。
「なぁなぁ、森崎、こんな双六どう?」
"加持 晃"
「晃いい加減に双六やめようや」
"矢原 秀哉"
「…別にいいと、想う」
"野澤 琥珀"
「あっはっは、バカー」
"麻田 雄志"
そんな中、隣に座って、"前崎 直美"と話している森松が怪しげな笑みを浮かべて俺に話しかけてきた
「ねぇ、森崎ぃ~」
「なに?」
「ふっふっふ、元カノの話きいちゃったんだけど~」
「なっ!」
ニヤニヤしながら俺を見る森松。
「え、何々?俺にも教えてよ、森ちゃん」
不思議そうな顔をし、興味津々な晃。
「あんまり突っ込むな」
そんな晃の肩をぽんっと叩き、泣くまねをする麻田。
おいおい、てめぇら何を想像して…
「手紙に、
『何かしたいことあったらなんでも言えよ?
ちなみに俺は手繋いで帰りたいな』
って書いたんでしょ~?」
「…え…」
「そんな事書いたの、柳くん…」
「書いてねぇよ!それいつの話や!」
「あとね~
『荷物、重たいだろ?
持ってやるよ。』
とかぁ~?」
「言ってねぇ!!」
「『荷物、重たいだろ?持ってやるよ』」
「『いやん、ありがとう♡』」
俺の目の前で嫌味のごとく、その時を再現する麻田と晃。
…実際言ってねぇけどな。
晃が手を差し出し、麻田がその上に手をのっけてる。
こいつら、何がやりたいんだ。
「…聞くけど、その元カノの名前は?」
「え?名前いっていいの?いっちゃっていいの?」
そう言った瞬間、いつもより森松の目は輝いていた。