君想
「おっ、おい、ちょっとまて」

「「だってこいつ」」
二人の表情がニヤッとした気がした。
―まさか…

「好きな、人」
「いますもん♪」

「…え?」



さっきまで真っ赤になっていた、森松が不思議そうな顔をして、野澤と矢原を見た。
"…え?"ってなんだよ。
今まで別に俺のことなんて気にしてなかったくせに。
ずきんっ…
と心が痛む。

「ぇ…ねぇ…誰?」
「は?」

「好きな人、誰?」
切なそうな顔をして、俺の目をみてる。
なんで…そんな顔…
今まで、しなかったじゃん。
「いえねえよ、んなもん」
「今までなんでも教えてくれたのに、これだけは教えてくれないんだ」

「…森松、俺が教えてやろうか?」
「は?」
後ろから、矢原が声をかけてきた。
基本的優しい奴だから、しゅんとする森松をみて、耐えきれなかったんだろう。

…それに森松、男らしさを除けば可愛いし。
第一、こいつ俺が惚れてんのわかってねえわけ!?
「こいつの好きな人」
俺を指さしながら言ってくる、矢原
おいおいおいおい!!
「ちょっとまて!おま!」
「え、いいの?」
「うん、森松なら教えてあげる」
「わー!ありがとうっ」

ちょっとまて!俺ぬきでなんで俺の好きな人の話!?
とか想ってるうちに、矢原は森松に耳打ちで、教え始めた。

「…嘘」

あー終わった、
俺の人生終わった。
「ほんと。」
ニコニコしてる矢原。
こいつ、俺の失恋の時になんでニコニコと―…


「………っが」
「は?」
「森崎がそんな変態だとは想わなかったああ!!」

そんな事を言いつつ、教室から走って出て行く森松。
…変態?
「お前、俺の好きな人なんていったの?」
「え?単純に、晃 って言っただけ」

あぁ、ソレで変態……
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