この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
恋し続けること
「輔くん、もう少しカスミソウをお願い。」
「了解。」
肩までのボブが揺れて、額には汗がにじむ。花車を制作していたのは静だった。
「そろそろ完成かな。」
「前園!見に来てくれたの?」
「そりゃ、俺も関係者だからな。」
「いいでしょ、前園センパイ。今回の大作。」
「華やかで正月らしいよな。」
「良かった~。支配人にも気に入ってもらえるかな。」
「当たり前じゃん。静さんはうちの店きってのフラワーアーティストだよ。」
「仕事を回してるのは俺だけどな。」
「二人とも、感謝してます。」
小さな笑い声がこぼれた。相変わらず、三人組の仕事は続いてる。
前園浩太は、静が婚約を解消しても何も言わなかった。
今は、以前静に伝えた言葉の返事を待っているのかも知れないが
これまで通り友人としてのスタンスを守っている。