この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
静が浩太たちを紹介しようと振り向いたが、
二人は静と竜平に手を振ると、そっとその場を離れていった。
静と竜平の間には、誰も近寄れない空気が流れていたのだ。
ロビーを後にしながら、何とも言えない浩太の表情を見て輔は肩を寄せた。
「飲もっか。」
「そうだな。せめてお邪魔虫にはなりたくないよな…。」
「浩太って、いいヤツだよなあ。」
「輔にだけは言われたくない。」
「とにかく、飲も飲も! また朝まで飲もう!」
二人は、この一年、静がどんな風に生きてきたか間近で見てきた。
慣れない独り暮らしや会社員生活にも関わらず、
独りで頑張っている姿を黙って見守ってきたのだ。
高瀬竜平に『お前は何をしてたんだ!』と言って殴ってやりたい。
大声で罵ってやりたいぐらいだ。
だが、それ以上に二人は静の幸せを願っていた。
今度こそ、静の恋が報われて欲しい。