この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~

静は、白河が手続きをしてくれた地元の小学校へ転入した。
だが、クラスメイトと日本語では上手く接する事が出来なくて
お喋りが大好きだった静も、次第に無口になっていった。


静がやっと小松原邸に馴染んだ頃、まだ正座すら出来ないというのに
松子は立ち居振る舞いから生け花まで、厳しく指導し始めた。

松子は手に竹製の物差しを持っており、静が間違えるとぴしゃりと打つ。
背筋だったり手の甲だったり様々だ。松子自身が受けた指導法らしいが、
静は両親からそんな扱いを受けた事が無い。少しの体罰でも恐ろしかった。

『お祖母さまコワイ、お稽古コワイ…。』

『パパ、ママ、日本はイヤ。』

怯えても、松子の厳しい稽古が止む事は無いのだ。

静はアメリカに帰りたかった。でも、もう両親はいない…。



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