この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
撮影の帰り、短時間だが花を活けたり青木の手伝いをして過ごした。
いつもの和服姿ではない、カジュアルな服装と髪型が静を生き返らせてくれる。
それに、この店では華宵流を意識せずに花を活ける事が出来た。
自由な花材とアレンジ…古い蔦の絡まるビルと『BLUE』の雰囲気が
静に次々とインスピレーションを湧かせてくれるのだ。
流木に蘭をあしらってみたり、花瓶からこぼれそうなほどミモザを活けてみたり…
青木は、いつも静の好きなように活けさせてくれる。
静にとって、この店はロサンゼルスの暮らしと繋がる唯一の空間だった。
静の事情を知ってか知らずか、青木の好意はありがたかった。
ここにいる静は、小松原家の静ではない。
今はもう捨てたミドルネーム、クリスティン・静になれる場所なのだ。