この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
「俺は、仕事中心の生活をしている。プライベートの時間はほとんど無いんだ。
マンションで独り暮らししているが、家の事もさっぱり出来ない。」
竜平が自分の生活を語り始めたので、静は彼を見つめるしかなかった。
『この人は、何が言いたいのかしら?』
「週に何回か家政婦が来てくれている。君にはオープンにしておきたいから、
鍵を渡しておく。俺がいてもいなくても、部屋を自由に使ってくれ。」
「あなたの、お部屋の鍵?」
「そうだ。君は少しこの屋敷から離れた方がいい。」
「…どうして?」
何故、祖父母が大切にしていた屋敷から離れろと言うのだろう。
静は混乱していた。ここをは担保だから私がいては邪魔なのだろうか…。
竜平は静の問いには応えなかった。
「君はもっと自由に過ごした方がいい。僕の部屋では好きにしてくれ。
何をしたってかまわない。この屋敷に捉われず、ここ以外の場所で…
俺とのこれからの事をゆっくり考えてくれないか。」
「これからの事…ですか?」
ぼんやりと静が問うと、
「俺たちのこれからだ。」
堂々と、竜平が答えた。