この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
「いきなり、どうしたの?」
コーヒーを勧めながら、静も席に着いた。
「大和さんに仕事の話を持って行ったら、是非静と直接話がしたいって…。」
「今日は、こちらにいるって聞いたから前園君に無理言って見学に来たんです。」
隣に座った女性は目を輝かせて、
「雰囲気のあるカフェですねえ…。」
と、店内のシックなインテリアに見とれていた。
「大和さん、こちらの方は?」
「ああ、紹介がまだでしたね。私の結婚相手…遠藤音羽です。」
静が驚くような情報を、大和と音羽がのんびりと話し始めた。
「は、初めまして。遠藤と申します。
やま…、いえ、御堂院様とお付き合いさせていただいております。」
頬をピンクに染めて恥じらう様子が可愛らしい。
静より少し年下の様だ。大和とは…ひと回りは離れているだろう。
「丸高デパートの受付嬢だよ。音羽は可愛いだろう。」
「もう、大和さんたら…。」
音羽が軽く大和の腕を叩く。大和はそれすら嬉しそうだ。
年の差がかえって新鮮なほど、大和の溺愛ぶりが伺えた。
「又従兄妹にあたります小松原静です。よろしくお願いします。」