この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
デモ講座の準備が始まると、静の忙しさは尋常ではなくなった。
竜平のマンションに行くどころか、松子の見舞いに行く時間も中々取れない。
『あと少し…9月のデモ講座が無事終われば…。』
今度こそ、ゆっくり竜平と話したい。彼の本心も聞いてみたい。
最初からすれ違ってばかりだったけど、きちんと自分の気持ちを伝えたい…
そして、出来れば竜平から『好きだ』と言われたい…。
その言葉一つで自分は生きていけるのに。
前園浩太が企画した教養講座はフラワーショップ小宮の協力も得て、
普通なら、一人ひとパターンの生け花材料を準備して学ぶのだが、
アレンジをいくつか実践できるように複数の花を選べる様にした。
お手本のパターンを活けた後、自分好みの花材を自由に使って、
人気講師の指導の下、アレンジメントも楽しめる仕組みだ。
基本の生け花に個人のセンスを加える事が出来、二重三重の旨味がある。
商業施設、華宵流、フラワーショップ小宮、
そして浩太の勤める代理店にとって新しい戦略になっていた。