この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
「私、ロサンゼルスで生まれなの。でも、事故で両親が亡くなって
日本の祖父母に引き取られたの…。」
「うん、それは浩太の会社が作ったプロフィールで見て驚いた…。」
「祖父は大学教授で、穏やかだけど世間に疎い人。
祖母はお嬢様育ちだけど、とっても厳しい人だったのよ。」
「そういえば、ばあさま、よく物差し持って怒ってたな。」
当時を思い出して、静はプルリと震えた。
「そうよ、間違えたらピシッとくるから痛かったあ。」
「何それ、体罰!」
輔は驚いたようだが、静にとっては当たり前の日常だったのだ。
「祖母はお家元の家で、小さい頃からそうやって躾られたんですって。」
「戦前の事だから、仕方ないかあ…。」
「今の子だったら、泣き出しちゃうと思うよ。」
想像するだけで、輔は震えている。
小宮家の自由な環境で育った彼には想像もできないらしい。