この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
竜平は、ただ後悔していた。
あの時、フランクフルトへ行く前に何としても静に会うべきだった。
「竜平…。そこまで静さんの事を気にかけていたなら、
どうして彼女ときちんと向き合って、話をしなかったんだ。
仕事よりも、お前の人生でその方が大切だったんじゃないのか。」
竜平は無言のまま、会長室を後にした。
幼い頃から見守ってきた女の子。
いつか、あの屋敷から自分が救い出してやろうと思っていた。
大人になって再会し、竜平にとってかけがえのない存在だと気付いた。
独りぼっちで泣いていたあの子が、
今や一人の女性として竜平の心を乱し、苦しめる。
あと少しで彼女を手に入れられたはずだった。
『俺はどこで間違えた…。』