―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
なんだかスポーツ系ホストクラブのようなノリだななどと思い、
「もしかしてコーチに熱を入れて貢ぐ人とかいたりして」と冗談で言ってみた。

「貢いでいるかどうかは知らないけど、プライベートレッスンはみんなガンガン入れてるわよ」
「プライベートレッスンもあるんですか?」
「うん。コーチが空いている時間にね。ちょっと高いけど」
「いくらですか?」

プライベートレッスンを受ければ透子も急速に上達できるのではないか、という希望がちらりと頭をかすめた。しかし値段を聞いて、その希望は瞬時に打ち砕かれた。

「1時間5万円+レンタルコート料7千円」
「高い! ちょっとじゃなくてものすごく高い。それ、ぼったくりじゃないですか」
「高いわよねー。でも好きなコーチとマンツーマンでテニスできるんだもの。みんなそれくらい出すのよ」

それくらい? 5万7千円がそれくらいってどういう金銭感覚よ。
松岡修三ならわかる。それがただのテニス教室のコーチのレッスンが1時間5万て。
10分間で8千円を超す計算になる。
好きなホストにドンペリ注文しちゃう、そんなノリなのか。
むしろホストクラブのドンペリに比べたら良心的で安いじゃないの、なんて感覚なのか。

唖然とする透子に金子さんは、ほらこれ見てと、今度はドラゴンウエイのHPを開いて見せてきた。
コーチの紹介ページには写真とPRコメント。そして月ごとのプライベートレッスン数ベスト5が公表されている。
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