―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
「あのー」
田淵が水膨れの皮膚に触れるようにそぉっと陳さんに声をかけた。
「どうしてそんなに透子さんに親身になるんですか?」
「透子ちゃんはね、歩道橋の階段で足を踏み外した孫を受け止めて助けてくれたんだよ。頭を打ってたら死んでいたかもしれない。だから孫の命の恩人だ」
あれ? どこかで同じ話を聞いた気がする、と龍道コーチと田淵が首をひねったのも無理はない。
2人が考えていることを察した透子は「私もデジャヴかと思った」と、龍道コーチとの出会いを思い出し、苦笑いした。
天龍にバイトに来る途中、歩道橋の階段を上がり始めたところで7段ほど上にいた男の子が上空を横切る飛行機に気を取られ、足を後ろに踏み出して体を大きく反らした。
落ちる! と思ったときには透子はダッシュで男の子の体を後ろから抱き留め、背中から地面に転がった。
低い場所からの転落だったので打ち身と腕の擦り傷だけで済み、透子は少々体が痛んだものの、男の子を一緒にいた母親に託すと「お礼をさせて」と言う母親を振り切って、天龍のバイトに遅れまいと急いで立ち去ったのだ。
その後すぐにその男の子と母親が天龍に食事に来て、実は親子は陳さんの娘と孫であったことが判明した。
「ああ、だからこの間、シップのニオイがプンプンしてたんだ。しかし龍道グループの御曹司を助け、次に陳さんの孫を助けるとは、透子さん、持ってるねー。モテ期どこじゃないね」
田淵が感心して透子を見つめる。
田淵が水膨れの皮膚に触れるようにそぉっと陳さんに声をかけた。
「どうしてそんなに透子さんに親身になるんですか?」
「透子ちゃんはね、歩道橋の階段で足を踏み外した孫を受け止めて助けてくれたんだよ。頭を打ってたら死んでいたかもしれない。だから孫の命の恩人だ」
あれ? どこかで同じ話を聞いた気がする、と龍道コーチと田淵が首をひねったのも無理はない。
2人が考えていることを察した透子は「私もデジャヴかと思った」と、龍道コーチとの出会いを思い出し、苦笑いした。
天龍にバイトに来る途中、歩道橋の階段を上がり始めたところで7段ほど上にいた男の子が上空を横切る飛行機に気を取られ、足を後ろに踏み出して体を大きく反らした。
落ちる! と思ったときには透子はダッシュで男の子の体を後ろから抱き留め、背中から地面に転がった。
低い場所からの転落だったので打ち身と腕の擦り傷だけで済み、透子は少々体が痛んだものの、男の子を一緒にいた母親に託すと「お礼をさせて」と言う母親を振り切って、天龍のバイトに遅れまいと急いで立ち去ったのだ。
その後すぐにその男の子と母親が天龍に食事に来て、実は親子は陳さんの娘と孫であったことが判明した。
「ああ、だからこの間、シップのニオイがプンプンしてたんだ。しかし龍道グループの御曹司を助け、次に陳さんの孫を助けるとは、透子さん、持ってるねー。モテ期どこじゃないね」
田淵が感心して透子を見つめる。