―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
マヤ『水之さんからクラス変更の依頼を受けてるけど』
シン『ダメ』
ラインで龍道コーチに確認を入れていたらしい。
しかしクラス変更にコーチの許可が必要だという規定はないはずだ。
それどころか入会時に「クラス変更は月ごとでいつでもできるので、自分に合うコーチを見つけてくださいね」と、随分優し気に説明を受けた。
そう抗議すると「普通はね」と、言う。
「水之さんは普通じゃないの?」
透子が尋ねるより先に田淵がたずねる。
「そりゃあ、やっと見つけたわけだし。逃がしたくないんじゃない?」
わざと誤解を招くような言い方をしてマヤさんが面白がっているのは明らかだ。
「どういうこと?」
田淵が怪訝な目を透子に向けた。
どう説明したらいいものか。
透子が考えているうちにマヤさんは田淵に顔を近づけ、声を潜めて語りだした。
「昔々、龍道コーチがまだ高校生の頃、神社の階段でよろめいた彼は、たまたま後ろにいた水之さんに助けられました。しかし水之さんはそのおかげで階段を転げ落ち、ケガをしてしまいました。
そこで彼が水之さんの分も参拝をしてくるからと本殿に上がっていきました。そしてお参りを済ませて急いで戻るとあら大変。いると思った水之さんが消えていたのです。それから11年の月日が過ぎ去った後、もう2度と会えないと思われた2人は、なんとこのスクールで奇跡の再会となったのです!とっても驚きましたとさ。めでたし、めでたし」
シン『ダメ』
ラインで龍道コーチに確認を入れていたらしい。
しかしクラス変更にコーチの許可が必要だという規定はないはずだ。
それどころか入会時に「クラス変更は月ごとでいつでもできるので、自分に合うコーチを見つけてくださいね」と、随分優し気に説明を受けた。
そう抗議すると「普通はね」と、言う。
「水之さんは普通じゃないの?」
透子が尋ねるより先に田淵がたずねる。
「そりゃあ、やっと見つけたわけだし。逃がしたくないんじゃない?」
わざと誤解を招くような言い方をしてマヤさんが面白がっているのは明らかだ。
「どういうこと?」
田淵が怪訝な目を透子に向けた。
どう説明したらいいものか。
透子が考えているうちにマヤさんは田淵に顔を近づけ、声を潜めて語りだした。
「昔々、龍道コーチがまだ高校生の頃、神社の階段でよろめいた彼は、たまたま後ろにいた水之さんに助けられました。しかし水之さんはそのおかげで階段を転げ落ち、ケガをしてしまいました。
そこで彼が水之さんの分も参拝をしてくるからと本殿に上がっていきました。そしてお参りを済ませて急いで戻るとあら大変。いると思った水之さんが消えていたのです。それから11年の月日が過ぎ去った後、もう2度と会えないと思われた2人は、なんとこのスクールで奇跡の再会となったのです!とっても驚きましたとさ。めでたし、めでたし」