―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
昔話風の妙な説明で感動的な展開を迎えたかのように聞こえるが、実際は車で拉致されてケーキを食べながら話を聞いて、それだけだ。めでたしなことは特にない。
「透子さんと龍道コーチって、昔からの知り合いだったってこと?」
「だから11年前に神社で会っただけだって。私も昨日、龍道コーチから話を聞いて思い出したんだもの」
「なんでいなくなったの?」
「田淵君、その話はまた後で。それよりクラス変更を」と透子が話を戻すと、「水之さん、その話はまた後で。それよりちょっと付き合ってよ」と言ってマヤさんはカウンターから出てきた。
田淵と一緒にマヤさんの後について従業員用のエレベーターに乗り込んだ。
「ところで、どこに行くの?」と聞く田淵に「あなたは誘ってないけど」とマヤさんがつれない答えを返し、田淵がむくれる。
「そんな。僕たち、これからビール飲んで帰るつもりだったんだから、勝手に透子さんを連れていかないでよ」
そうなの? というようにマヤさんが透子に視線を送る。
正確にはそんな約束はしていない。
ただ田淵と透子が一緒に家路に向かい、時間があるときにはなんとなく近所のビアバーに寄っていくのが恒例だった。
だから今日もそうなるだろうとは思っていたので「うん」と首を縦に振った。
「透子さんと龍道コーチって、昔からの知り合いだったってこと?」
「だから11年前に神社で会っただけだって。私も昨日、龍道コーチから話を聞いて思い出したんだもの」
「なんでいなくなったの?」
「田淵君、その話はまた後で。それよりクラス変更を」と透子が話を戻すと、「水之さん、その話はまた後で。それよりちょっと付き合ってよ」と言ってマヤさんはカウンターから出てきた。
田淵と一緒にマヤさんの後について従業員用のエレベーターに乗り込んだ。
「ところで、どこに行くの?」と聞く田淵に「あなたは誘ってないけど」とマヤさんがつれない答えを返し、田淵がむくれる。
「そんな。僕たち、これからビール飲んで帰るつもりだったんだから、勝手に透子さんを連れていかないでよ」
そうなの? というようにマヤさんが透子に視線を送る。
正確にはそんな約束はしていない。
ただ田淵と透子が一緒に家路に向かい、時間があるときにはなんとなく近所のビアバーに寄っていくのが恒例だった。
だから今日もそうなるだろうとは思っていたので「うん」と首を縦に振った。