―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
マヤさんに急かされてよくわからないまま透子は渡されたワンピースに着替えた。
襟と背中が大きくあいた鮮やかなターコイズブルーのプリーツワンピースは、ウエストを細いリボンで締めると、細いプリーツが体のラインに美しくまとわりつく。

「やだ、想像以上に似合ってる。サイズもぴったりね」

そういうマヤさんは、柔らかなドレープのワイン色のドレスに着替えていた。
ひざ丈の裾から伸びるキュッと引き締まったふくらはぎに思わず目が行く。
着替えを終えて田淵のいるリビングに戻ると、ドレス姿の2人を見た田淵が思わずソファから立ち上がった。

「すごい、馬子にも衣装だね」

大げさに目を見開いて驚く田淵の髪をぐいと引っ張って、マヤさんは改めて透子の姿に視線を這わせた。

「あんなもっさいジャージを着こなせるだけあって、水之さんてやっぱりスタイルいいわね」
「もっさい?」
「ダサいの上」
「え、そんなにダサい?」

フォローを求めて田淵に目をやったが、視線をそらされた。

「だって高校生の部活の運動着みたいだもの。でも似合ってるところがすごいのよね。他の人たちのお洒落なウエアよりきまってる」
「それ、褒めてないよね」
「一応、褒めてるよ」
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