―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
「どうなっているの?」

まるで騙されていたとでもいうように、田淵も怪訝と不快を足して割ったような顔で透子を見るので、透子は大きく首を振った。

「わからないわよ。だいたいさ、お詫びを兼ねて付き合うってどーいう論理? どういうこと?」

当たる先がないので、透子は泉コーチに向かって抗議した。
泉コーチは人差し指を口元に当て、離れた場所で言い合っている龍道親子の姿を眺めながらなにやら考え込んでいる。
そして「もしかしたら水之さん、お見合いを避ける時間稼ぎに使われたのかもしれない」と推理を口にした。

とたん、
「例の件ってお見合い話のこと?」
「私を呼んだのはそのためっだったということ?」
「でもどうして透子さんなのかな」
「そうよ、自分で言うのもなんだけど他にもっと若くてきれいな子がたくさんいるのに」
と、田淵と透子は矢継ぎ早に質問を重ねた。
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