庵歩の優しい世界
そちらは一旦置いておいて、私は君とその男の関係が気になった。
親子にしては男は若すぎるし、兄弟にしては歳が離れすぎていると思う。
究極、年の離れた兄弟という線は安易にすてがたいが。
「幸助はおかさんの弟」
そのような男の子の説明をうけてまあ、とりあえず私の疑問は払拭されたわけだが、
今現在のミステリーに分類されそうな光景の説明はされなかった。
ちなみにここはマンションの五階に位置する。防犯対策のなされた、とても優秀なオートロックが災いして、この男の子いわく
「僕も部屋をでたらロックがかかって入れなくなった」
完全なる幸助の二の舞い。甥っ子と叔父は遠からず根本は似るものなのか。
男の子も幸助もおなじようにカードキーを忘れて、家に入れなくなっちゃうなんて………コントですか? 仲良いですね。
……そのあたりの細かい事情はともかくとして、このまま放っておいても、たちまち住民の混乱を招くだけなので、
ひとまず私の部屋に移送することにした。