庵歩の優しい世界


 迷いなく進んでいく珠手について行った先は、どう見てもコンビニだった。


こ、こやつ友人とコンビニ弁当を食べるために2時間も外で待っていたのか⁉︎


私は驚きのあまり、鮭おにぎりを三つも抱えていた。



私は鮭おにぎりが好きなのだった。



「珠手、せめてファミレスじゃない?」

「そんなこと言いながらも、ちゃっかり鮭おにぎり持ってんじゃねーかよ。
まあ、好きなの買ってやるから、庵歩の家で飲も。ファミレスは好きじゃない」



 それ、飲む気満々だからファミレスが嫌なだけではないか。


 結局、しゃけおにぎり三つと、酎ハイ6缶、おつまみをいくつか買って家に帰ってきた。

男を簡単に家に呼ぶべきではないという意見もあるだろう。


しかし、珠手に限ってそんなことは杞憂だ。

ゲームをして遊んだり、お酒を飲みながら映画を見たり、だらだら喋る。



 ───私たちの関係は、どこをつまみ上げてもただの友人だった。


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