自信のない恋に優しい愛

 同期の子達は総合職としてバリバリ働いているか、結婚退職をしていったか、この会社に見切りをつけて転職していったかなので、お昼休憩に一緒にご飯を食べる相手も、この目の前のたった今失礼なことを言ってくれた後輩―― 有本理奈だけ。

 色白の肌にくりっとした大きな目の小動物的な彼女は自分で「私はか弱い子ウサギだから~」とのたまう痛い子だ。
 縁故入社の彼女は、仕事はできないが男性社員(おじさん)受けはとても宜しく、世の中を上手く渡っていると思う。
 そして当然、彼女のできない分の仕事を引き受けるのは私なわけで……。

「でも、男の人はみんなオオカミだから~。私みたいな子は簡単に食べられちゃうから怖くて~」

 未だ彼氏ができないことを嘆いている理奈の言葉を聞いても、右手で握り締めたお箸を目の前の唐揚げに突き立てない私を褒めて欲しい。
 彼女の話を聞いているうちに温かった社食のB定食はどんどん冷めていく。

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