韓紅花の簪 (新)
この茶屋はさよが手伝う前から京ではそこそこ有名な甘味処であったが、何分老夫婦2人での営業では手が回らず、週に3度ほどしか店を開けられずにいたのだ。
そこにさよの手が増え、本人の自覚はないが京美人にも劣らる美貌を持つ娘が看板になったときたら、毎日ひっきりなしに客が来るようになり、大繁盛だった。
そんな背景もあり、以前は女8割男2割だったものが女4割男6割なんてことになってしまっている。
この青年も最近茶屋にくるようになったのだ。
言葉遣いから京の人間ではないのは明確で商いをやっているわけではないようだが、他の客に比べ来店頻度は少なかった。