夢幻界〜Welcome to the world of dreams.〜
「え?」
「"水瀬"は自分の思うままに歩けばいいんだ」
水瀬……って。
何で苗字で呼ぶの?
漠然とした不安に眉を寄せていると、彼はまた柔らかな笑みを浮かべる。
「俺はずっと待ってるから」
「え、」
「水瀬が戻って来るのを、ずっと待ってる」
「っ、涼ちゃ」
どこからともなく、ざぁっと風が吹いた。目を開けていられない程の強い風だ。
白い砂を巻き上げて、私の髪をも揺るがした。恐る恐る瞼を持ち上げる。
え。
いつの間にか、私は一人きりになっていて、毎夜見ていた白い世界に立っていた。