夢幻界〜Welcome to the world of dreams.〜
 それから彼は、「とにかく病院の先生呼ばないといけないよね」と言い、私のそばにぶら下がるナースコールを押して、今の状況を伝えてくれた。

「……何で。真柴くんがいるの?」

 私は謎でしかない現象に、やはり答えを求めてしまう。未だに私は理想郷の中にいて、突然目が覚める事を恐れていた。

「俺は水瀬が心配で。あれから毎日病院に来てるんだ」

「……え」

「覚えてないよな。水瀬が倒れた時、俺すぐそばにいたんだ。急な事に驚いて、怖くなって……意識のない水瀬にずっと呼び掛けてた」

 何で……。

 頬がカァッと熱くなる。

 優しく語りかけてくれる声も胸を熱くする眼差しも、全てが私にとって丁度良くて、うまく行き過ぎてる。

 彼のその気持ちは、単なる善意から?

 それとも私の事を……、

 ああっ、駄目だ! 無駄な期待は自分を惨めにするだけ。

 否定の意からぶんぶん、と頭を振ると、彼が慌てて手を伸ばした。

「だ、駄目だよ、頭打ってるんだからっ」

「……っ、は、ハイ」

 真柴くんの手が優しく髪に触れて、私は恥ずかしさと緊張で凝り固まった。

「いつも見てくれてたよね?」

「……え」
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