夢幻界〜Welcome to the world of dreams.〜
 再度座り直した彼が、私の瞳を覗き込んだ。

「ある時は教室の窓から。ある時は校庭の片隅から。そんである時は廊下の窓から」

「……っ」

 気付いてたの?

「なに、それ……」

 そんなのまるで。私がストーカーみたい。

 居た堪れなさにフイと目を逸らすが、真柴くんは変わらない声の調子で話を続けた。

「同じ教室にいる時はほとんど感じた事がなかったけど。サッカーをしてる時だけは、水瀬の視線にいつも励まされてた」

「……え」

「嬉しかったんだ」

 そう言って彼は真剣な目で、また私の瞳を見つめた。

「俺は水瀬の事が」

「ちょっと待って!」

 私は手を伸ばし、彼の言葉を遮った。

「こんなの都合が良すぎるよ」

「こんなのって……?」

「だから、いきなり両思いになるなんて……、流れが」

 言ってからハッとする。

 恥ずかしさで慌てて口を噤むが、真柴くんはキョトンとした後、クシャッと顔を崩し、声を上げて笑った。

「好きなんだ、水瀬が」

「……っ」

「目が覚めたら必ず()おうって決めてた」
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