夢幻界〜Welcome to the world of dreams.〜
第二夜
「へ〜ぇ、凜たちは相変わらずラブラブねぇ」
「んふふ、うんっ」
週明けの月曜日。私は同僚の和沙と一緒に会社付近の公園でお弁当を広げていた。
社内の愚痴や日常のたわいない話以外は大抵恋バナになる。私は涼ちゃんとのデートでおすすめの行き先やお店について相談するのが主だが、和沙はデートの報告を聞きたがる。
そして「涼介さんみたいな彼氏、私も見つけないとねぇ」と続ける。
「ねぇ、和沙。この間言ってたマッチングアプリの人はどうだったの? 金曜日デートだったんでしょ?」
和沙がはしゃいでた週末を思い出して尋ねるのだが、彼女は残念そうに微笑み、首を振る。
「全然。相手、プロフ盛り過ぎだったよ。また新しい候補探さなきゃねー」
「……そっかぁ」
二十三歳という若さだからこそ、私たちは今の魅力を最大限に活かし、男性に愛される事を望んでいる。
食べ終えたお弁当をランチバックに仕舞いながら、暫し手が止まる。私たちが座るベンチの目の前を、母親に手を繋がれた男の子が通り過ぎて行った。