【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
第一章
同じ顔の彼
ーーーー3年前、彼は突然失踪した。
誰にも何も言わずに、突然いなくなった。
失踪した原因が分からぬまま、3年という月日が流れた。
失踪した彼は、かつてのわたしの恋人だった。
彼のことを忘れることも出来ないまま、わたしは3年もずっと失踪した彼を待っている。
だけど彼から何の連絡もないまま、3年が経ってしまった。
そんなある日の春のことだった。
わたしたちの会社が、この春の4月から新しく社長が変わることになったのだ。
そしてその4月、新しく社長としてやってきた人物を見て、わたしは心底驚いた。
「初めまして。この度社長を勤めさせていただきます。五月女(さおとめ)咲哉(さくや)です。よろしくお願いします」
「……え?」
そこにいる人物に、わたしは見覚えがあった。確かにその顔を……わたしは知っている。
ーーーだってわたしの恋人だったあの人に、すごく似ていたから。……忘れもしない、あの人と同じ顔をしている。