【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
最終章

辛さを乗り越えた先に




◇ ◇ ◇



「ただいま」

「おかえりなさい。咲哉さん」

 仕事から帰ってきた咲哉さんを、玄関まで出迎えた。

「奈都、体は大丈夫か?」

 帰ってきてすぐ、咲哉さんはそうやって心配してくれる。

「大丈夫です。 先にご飯にしますか?」

「そうだな。そうしようかな」

「すぐに準備しますね。座っていてください」

「その前に手を洗って着替えてくるよ」

 咲哉さんは寝室へ向かうと、部屋着に着替えて手を洗った。

「いただきます」

 わたしはつわりであまり食べれないので、夜もゼリーやフルーツなどを食べている。

「うん、うまい」

「よかったです」

 わたしの作ったものをなんでも美味しいと食べてくれる咲哉さん。本当にいつもその美味しいという言葉に救われている。

「そういえば今日、切迫早産になりかけた妊婦さんがいたんです」

「そうなのか?」

「はい。廊下ですれ違った時、とても苦しそうな顔をしていて。それで急にお腹が痛いって言っていて……」
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