【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
早見さんはお腹に手を乗せて優しく撫でながら、そう笑顔で話してくれた。
「先生から聞きました。よかったですね」
「あなたがすぐ先生を呼んでくれたおかげです。……本当に、ありがとうございました」
「いえ、わたしは何も……。だけど同じ妊婦として、頑張ってほしいなってそう思ってました」
わたしも本当にそう思っていた。妊娠生活って楽じゃないし、辛いことばかりだし……。
「わたしも初産なんです。……うちの子ね、男の子なんですけど。21トリソミー症候群があるって言われたんです」
「……え?」
21トリソミー……。聞いたことがある。確か、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種だ。知的障害と様々な身体的異常がみられることも。何かの本で読んだことがある。……彼女のお腹のいる子供は、いわゆるダウン症なんだ。
「最初にダウン症だって言われた時、とても信じられなくて……。正直産むかどうか、迷ったんです。夫も夫の家族も、産むべきではないと言いましたけど……」