【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「……そうだったんですね」

 そう話した彼女はとても辛そうで、苦しそうだった。 わたしはそのことを聞いて、すごく胸が痛んだ。

「あ、すいません……。こんな話、してしまって」

「いえ。……辛いのに、教えてくださってありがとうございます」

 彼女だって不安をたくさん抱えていて、きっと毎日辛い思いをしているんだ。その上、彼女の子供はダウン症の子供なんだ……。そんな彼女の辛さや痛みに比べたら、わたしの辛さなんてこれっぽっちって感じだ。

「ううん。……だけどこの子は、わたしたちの子供だから。ちゃんとふたりで育てていきたいって、夫とも話してるんです」

「そうですか。……おふたりならきっと、乗り越えていけると信じています」

「ありがとう、五月女さん。 五月女さんの赤ちゃんも、元気に産まれてくることを願ってますからね? だってわたしたちの子供、同級生ですし」

 早見さんはそう言って声を明るくして、そして笑顔を向けてくれた。

「はい。ありがとうございます」
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