【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「早見柚子(ゆず)さーん、診察室へどうぞ〜」

「はいっ! じゃあ、わたしはこれで」

「あ、はい」

 彼女は大きくなったお腹を抱えながらその場から立ち上がり、診察室の方へと歩いて行った。

 わたしは彼女から、自分の子供がダウン症だと聞いた時、頭の中に浮かんだのは。……もし自分の子供がダウン症だと診断されたら、わたしだったらどうしていたんだろうか、ということだった。

 ……わたしなら、きっと産むことを躊躇っていたかもしれない。きっと家族にだって反対されるだろうし。 咲哉さんだってもしかしたら……。そしてわたしも、最終的には産まないことを望んだかもしれない。

 そう思うと、早見さんはとても強い人だなって思った。早見さんはダウン症だって分かっても尚、産みたいと願っているんだから。……あの日以来、わたしにとって早見さんという存在はとても大きな存在で、お母さんとしても尊敬する人になった。

 それから2ヶ月後、早見さんに元気な赤ちゃんが産まれたと報告があった。
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