【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「ほら、藍、パパも。ご飯にするから、手を洗ってきてね?」

「だって藍。ほら、おてて洗いに行こうな?」

「はぁーい!」

 親子ふたり、仲良く洗面台に行く姿は本当に親子だ。ふたりともよく似ている。

「さ、夏恋もおてて洗おっか」

「はぁーい」

 わたしは夏恋の手に泡のハンドソープをつけ、夏恋に手を洗わせた。夏恋はまだぎこちないけど、ちゃんと手も洗えるようになった。その姿を見てるだけでも、本当に嬉しくなる。……子供の成長する姿は、誇りだ。こんなに素晴らしいこと、わたしたちは見つけたんだ。誇りでしかない。

 みんなで席について「いただきます」と手を合わせながら、食卓を囲むことが毎日、わたしにとっては当たり前だ。だけどこれが、幸せというものなんだろな……。みんなでお話しながら、テレビを見ながら、一緒にご飯を食べることが何よりも幸せを感じる。

「美味しい?藍」

「うん!おいしいよっ」

「よかった。よーく噛んで食べるのよ」

「はぁーい」

 子供が無邪気に食べる姿は、本当に可愛くてたまらない。
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