【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 その時、五月女社長はわたしの頭を優しく撫でてくれたのだった。

 目の前にいる彼のことを、わたしは五月女社長と認識している。……けれどわたしは、彼のことを奏人とかもしれない、とも思っている。




◇ ◇ ◇




「おいしかったね」

「うん。おいしかった」

 目の前に五月女社長が座っててもお腹は空いているし、結局オムハヤシはおいしかった。 それに食べている時はずっとスマホを見ていたから、なるべく五月女社長の顔を見ないようにした。

「今日は俺の奢りです」

「えっ! いいんですか?」

 と藍那は嬉しそうに言った。

「うん。今日は俺の奢り」

「ありがとうございます!五月女社長!」

 結局、わたしたちは五月女社長にお昼を奢ってもらってしまった。……ありがたいけど、申し訳ない。

「じゃあ、午後も仕事頑張ってね」

「ありがとうございます。ごちそうさまでした」

「……ごちそうさま、でした」

 わたしたちはお昼の後、職場へと戻った。
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