【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
幸せになること
「……わたし、あの……」
答えに困った。なんて言うのが正解なのか分からない。
「今すぐにとは言わない。……ただ、考えておいてほしい。真剣に」
真剣な彼のその目は、わたしの瞳を捉えて離さなくて……。
「……五月女、社長」
「奈都、咲哉(さくや)って呼んで?」
「……え?」
その言葉の今を理解するのに、頭の中で時間がかかった。
「俺とふたりの時は、名前で呼んでほしい。……゙咲哉゙って」
わたしの目を見ながら、彼はそう真剣な眼差しで言ったのだった。
「……どうして、そんなこと言うんですか?」
もしかして、わたしが奏人にまだ未練があると思われてる……? いや、実際はそうなのかもしれない。だけど……そんなこと口にしていいものなのか、悩んでしまう。
「奈都、俺はね。 奈都には、幸せになってほしいって思ってるから」
「……え?」
「言っただろ? 奈都には笑って生きててほしいって」
彼の真剣な眼差しとその言葉に、わたしは胸がキュってなった。