【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「奈都、少しは元気出たか?」

「……はい。ありがとうございます」

 奈都と呼ばれる度に、胸がドキドキする。心の奥がキュッてなる。

「なら良かった。奈都が泣いてる姿よりも、笑った顔の方が見たいからさ」

 その彼の言葉で、わたしは嬉しくなって、そして心がときめいた。




◇ ◇ ◇




「……今日は、ありがとうございました」

「気にするな。……じゃあまた来週、会社で」

「はい。……お疲れ様でした」

 家の近くまで送り届けてもらい、そのまま帰ろうとした。その時だった。

「奈都」と名前を呼ばれて振り返ると……。ギュッと軽く抱きしめられた。

「……え、社長……?」

「奈都、今日はありがとう」

「……はい。こちらこそ」

 今日は楽しかった。卓球もそうだし、チョコレートパフェも一緒に食べれたことも、散歩したことも。……楽しかった。

「じゃあ」と優しく呟いた彼は、わたしのおでこにそっとキスをした後、帰っていった。
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