【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜

　すると藍那は、わたしに意外な言葉を口にした。

「利用すればいいじゃない」

「……え？」

「利用していいって言ってくれてるなら、遠慮なく利用しちゃえばいいじゃない。……五月女社長は、アンタのためを思ってそう言ったんでしょ？　だったら思う存分、利用すればいいわよ。　それでもし、五月女社長がアンタのことを本気で愛してくれるなら、本能じゃない？」

　藍那の言葉は、まるでわたしの気持ちを軽くしてくれるかのような言葉だった。　そしてその気持ちは、少しだけわたしを楽にしてくれた。

「……藍那」

「もしわたしが同じ立場になったとしたら、わたしはそうするよ。……誰かのためにじゃなく、自分のためにそうする」

　藍那のその言葉はとても力強くて、でもすごく暖かい言葉だった。わたしの揺れる心を、優しくしてくれた。

「……ありがとう、藍那。すごく、勇気もらえたよ」

「いいえ。……だから、頑張りな？」

「うん。頑張る、ありがとう」

　藍那に感謝しないとな……。