【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「ううん……。別になんでも、ない」

 藍那にだけは話したいと思った。だけどそんな話をして、信じてくれるかどうか分からない。どうしようもない不安が襲ってきて、わたしは言うのを躊躇いそうになった。

「……ねぇ奈都。言いたくないなら、別にムリに言わなくてもいいよ。だけどね、もし何か不安なことがあるのなら、わたしにはちゃんと話してほしいな。……わたしたち、親友でしょ?」

 そうやって口を閉ざすわたしに、藍那は力強くも、優しくそう言ってくれた。

「……藍那」

 藍那の気持ちがどうしようもないくらい、嬉しかった。

「奈都、わたしはいつでも、アンタの味方だからね?奈都が辛い時も、楽しい時も、わたしはずっと奈都の味方だよ。……親友でしょ?わたしたち」

 そう言われたわたしは、藍那の前で涙を流した。……気がついたら、ずっと涙が止まらなくなって。藍那がずっと、背中をさすってくれていた。

「大丈夫だよ。大丈夫だからね」と何度も声も掛けてくれた。
< 6 / 166 >

この作品をシェア

pagetop