【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜

「ん？　どうした？」

「……あの、わたしの胸にあった印……って？」

　とわたしが問いかけると、彼はわたしの目を見つめてこう言った。

「ああ、気付いちゃった？　こっそりキスマーク付けたんだよね。奈都が俺のだって印にしようと思ってさ」

「な、なんで……？」

　なんでわざわざ、そんなこと……。

「奈都を俺だけのものにしたいから」

「……え？」

　意外な言葉にわたしは、ただ彼を見つめることしか出来なかった。

「奈都さ、昨日俺に抱かれてる時、俺のことﾞ奏人ﾞって呼んだでしょ？」

「……え？」

　そう言われたわたしは、口を開くことが出来なかった。

「微かだけど……俺のこと昨日、奏人って呼んだだろ？」

「……それは」

　気付いてほしくなかった。……分かっていたとしても、気付かぬフリをしてほしかった。

　どうして気付いてしまったのだろう……。わたしは昨日、わたしを抱く彼を奏人としか思えなかった。だから気付かれぬように、そっと奏人の名前を呼んだのに……。