【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
「奈都」
「え? さ、五月女社長……!」
ぼーっとしていたわたしの目の前に現れたのは、五月女社長だった。
「奈都、もうお昼の時間だよ?」
「え? あ、本当ですね……」
備品保管庫の整理と備品の発注をしていたら、気づいたらもうお昼の時間だった。
「どうした?奈都」
わたしの目を見つめる五月女社長。その表情は、少し曇っていた。
「……いえ、何でもありません」
「奈都、そろそろあの時の返事聞かせてくれないか?」
歩きだそうとした時、五月女社長は突然わたしにそう言ってきた。
「……え?」
「あの時の返事、聞かせてほしい」
あの日の夜、五月女社長はわたしに言った。
「奏人の代わりとしてでも構わない。……俺の恋人になってくれないか?」と。
なぜ五月女社長がそんなことを言うのか分からなかった。……だけど、゙奏人の代わりでも構わない゙なんて、言ってほしくなかった。
そう言われればわたしは、きっと彼を利用してしまうから……。