【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 次の瞬間に訪れるのは、わたしの隠していた淡い気持ち。……彼への想いを閉ざそうとして、必死になっていたけれど。わたしはやっぱり、五月女社長のことを、好きなんだ。

 奏人と同じ顔をしていて、何度もわたしは、彼は奏人ではない。別人なんだ。……そう思って何度も、彼に対する想いを閉ざしたかった。彼のことを好きになったら、わたしはまた奏人のことを思い出してしまうから。

 そして彼を利用しては、何度も奏人という幻想を生み出すかもしれなかった。……彼のことを思うと、胸が苦しくなって、辛くなった。その度に何度も罪悪感を感じては、自分の彼への想いを殺そうとしたかもしれない。

 だけどわたしは、それでもやっぱり五月女社長のことを好きなんだ。……こんなにも想いがあふれ出しそうなのに。すぐそばにある彼の手に触れたくても、その手を伸ばすことも、今のわたしには出来ない……。

「じゃあお疲れ様」

「お疲れ様でした!」

 社長が去ってしまう。そんなことを思ったわたしは……。
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